さぁ「偉大な普通」を取り戻そう。僕らは「普通」をとうに忘れている

臨床人数という実績について

【初めに】当HPの内容は全て院長個人の見解である事をご了承下さい。

これは旧記事となります。コンパクトにまとめた新記事を作っています。

臨床人数の持つ信頼性

臨床人数は多い方がいい。殆どの人がそう思っているはずです。臨床数が多いとは「経験値が高い」事であると。

これは「患者側」の視点と「施術側」の視点で異なる見え方をする「ルビンの壺」ケースの1つです。

視点1つで見え方が違う

患者様の視点

「臨床人数が多い=経験値が高い」

患者様の視点では臨床人数が多ければ多い程に「頼れる人だ」「この人なら間違いない」「凄腕だ」と安心材料となります。沢山の人を施術しているという事は「沢山の経験をしている」という事であり、「経験値が高い」という事は「腕が立つ」という結論に至るからです。

何を隠そう、ヘルニア時代の私がそうでした。

これは「施術」を受ける側が必ず辿る道だと私は思います。何故なら「施術をしたことが無い」からです。

そうなのです。この「数と質は比例する」という認識は「実際にしたことが無い」からこそ抱ける幻想だと私は思います。

施術家側の視点

「臨床人数が多い=流してるな」

この理屈は「施術家側」の視点に立つと見事にひっくり返ります。「え?この期間でこの人数?」「1日何人を施術しているの?」「1人あたり何分で施術してるの?」と現実的な問題が見えてくるからです。

この数はキチンと向き合えない

実績として臨床人数を謳う院は「1日10人以上」を軽く超えるケースが殆どなのですが、それだけの人数を実際にこなそうとすると「流す」形で対応をしないと運営が回りません。

施術はそれほどに集中力を要するものなのです。

数字の裏側にあるもの

臨床人数に限らず、こういった「数字」による安心感の提供は割とあります。最も代表的なものは「リピート率○○%」です。「○日で体脂肪○%減少!」も良くありますね。

他の業界では「2秒に1本売れている」や「累計発行部数○○万部」「最寄り駅まで徒歩○分」などもあります。もっと身近で探せば「リットル当たりの平均燃費」もあてはまります。

こういった安心感を与えてくれる数値には「現実的とは言えない前提条件」が潜んでいますので、悲しい話ですが「魅力的な数値は基本疑う事」が必要な時代になったと言えるかもしれません。

いや、もうずっと前からそうだったかもしれませんね。

数が奪い去るモノ

沢山の人を施術した方が経験値が溜まる。これは「外側」から見ている分には間違いない理屈です。「沢山練習をした方が上達をする」と同じ論理ですから。

ですが、実際に施術をしている側の認識は違います。

「集中力が持たない」

施術という行為は患者様が思っている以上に神経も集中力も削ります。人とキチンと向き合おうとすると相応のエネルギーを必要とするからです。

では、これ程にエネルギーを要する施術をどうすれば1日10人以上に提供できるのか。それは「考える作業を減らす」事で実現します。「流れをテンプレート化」し「掛ける言葉をテンプレート化」し「施術自体を作業化」する事。いわゆる「流れ作業」にする事です。

それによって負担は劇的に減りますので、1日10人以上でも受け入れ可能となります。

その代償として失われるものが「オーダーメード」の施術です。腰痛の人にはこれ、肩こりの人にはこれ、膝痛の人にはこれ、といった「カテゴリ別の流れ」が提供される形になっていきます。

その様な「流れ作業」が積み上げた「実績」に「経験」は住まうのか。臨床に立つ者として私は同意しかねます。

「作業」は「施術」とは明らかに異なるものです。